【コラム】 屋根の種類を教えてください

投稿日:

大都会であれ、田舎であれ、みなさんがお住まいの土地には周りにも何件も家が建っていると思います。そして、改めてそれぞれ家をよくよく見てみると、多い少ないの差はあれど、屋根にも実に様々な種類があることに気づかれると思います。家の前に立ってみると、外壁とは違って、屋根はあまり全体像を見ることはできませんが、少し離れて家全体を眺めると、屋根の色や形などによって家の印象も大きく変わってくることと思います。

今回は、そんな屋根のお話です。改めて、「屋根の種類」といえば、「屋根の形状」と「屋根の種類(材質)」に大きく分けることができます。

まず、「屋根の形状」についてですが、細かく突き詰めていけば、、、

切妻、寄棟、片流れ、方形、陸屋根、半切妻、さしかけ屋根(招き屋根)、入母屋、越屋根、のこぎり、バタフライ形、、、、など

20種類以上もの屋根形状があります。

 

今回は、この中でも一般住宅に多く見られる、切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根について、特徴を述べたいと思います。

特にそれぞれの屋根の特徴と、メリットデメリットが分かれば、今後の中古住宅選びの参考になるかもしれません。

【切妻屋根(きりづまやね)】

2方向の斜面が対称的に傾斜している屋根で、現在一般住宅で最も多いタイプの屋根です。構造がシンプルで和風・洋風どちらの住宅にも合うのが特徴です。

メリットとしては、構造がシンプルな為施工が比較的容易(コストも抑えられます)で、同時にシンプルな構造ゆえに雨漏りもしにくいです。

デメリットは、とても多くみられる形状の為、個性を求める方には面白味に欠けるかもしれません。

 

【寄棟屋根(よせむねやね)】

4方向の斜面で構成された屋根形状で、切妻屋根の斜面では無い方向に更に2つの斜面を加えたような形状です。

こちらも、切妻屋根のように和風・洋風どちらの住宅にも合うのが特徴です。

メリットとしては、全方向に対して斜面が有り、それぞれの斜面が支えあう形状の為、強風に強い、つまり台風時に強いと言われています。

デメリットとしては、棟の数が増え、それぞれの棟の結合部分の構造が少し複雑になり、ややコストが上がり雨漏りの可能性も若干増えます。

 

【片流れ屋根(かたながれやね)】

1枚の斜面を、1方向に傾斜させただけの屋根です。構造がシンプルながら、洗練された印象が有り、近年のコンパクトな住宅に多く見られます。

メリットとしては、その構造のシンプルさゆえに、施工が容易でコストが安いです。他の斜面との接合部も無い為、そこからの雨漏りの心配もありません。

デメリットとしては、斜面が1方向のみなので、降雨時には一方向の雨樋に大量の雨が、降雪時には大量の雪が集まり、雨樋への負担が多くなってしまうことです。

また、傾斜方向の反対側の軒裏は暴風時などには雨風の吹き返しが当たり易く、雨漏りのリスクが増えてしまいます。

 

【陸屋根(りくやね・ろくやね)】

鉄筋コンクリート造の住宅に多く見られる、文字通り陸のように水平にまっ平らな屋根です。メリットとしては、屋根部分が平らなため、屋上スペースとして、全体を使用することができます。

デメリットとしては、排水構造を入念に造りこむ必要があり、また屋根全体が平らで雨水がたまりやすい為、防水施工も念入りに行う必要があり、他の種類の屋根より、雨漏りのリスクが高くなります。

次に、「屋根の種類(材質)」についてですが、大まかには、瓦ぶき、スレートぶき、鋼板ぶき、と大きく3種類に分けることができます。

【瓦ぶき】

瓦、または日本瓦と呼ばれ、古くから日本の住宅に多くみられる屋根材です。焼き瓦(釉薬瓦、陶器瓦)、と、セメント瓦(洋瓦)の2種類が、一般住宅には多く見られます。

それぞれに特徴がありますが、焼き瓦は、何と言ってもその耐久性が大きなメリットです。粘土に釉薬を塗り、まさに陶器のように焼成する為、表面は滑らかで固く、汚れが付きにくく(カビや苔が発生しにくい)劣化も非常に少ないです。デメリットとしては、そのコストと、どうしても和風味が強くなってしまう事でしょうか。また、塗装ができないので、色を変えたい時には葺き替えになってしまいます。ちなみに、近年では焼き瓦でも、スレートのように薄く平らでデザイン性に富んだ平板瓦(フラット瓦)もありますので今後のデザイン面の選択肢は多くなりそうです。

セメント瓦(洋瓦)は、文字通りセメントでできた瓦です。粘土を焼成して造る焼き瓦と比べると耐久性は落ちますが、製造時から塗装で着色する為、カラーバリエーションに富んでいます。また、定期的なメンテナンスは必要になりますが、その度に、塗装で色を塗り替えることができます。また、コストも比較的安価です。

【スレートぶき】

スレートとは、「slate=石版、粘板岩」の文字通り、石版のように薄い板状の屋根材です。海外では、天然スレートという、天然に採れた石版をそのまま屋根材に使用していた為、これが語源になっているそうです。日本では、主に石綿スレート、無石綿スレート、セメントスレートが多く見られます。ちなみに、石綿(アスベスト)は一般的にも知られているように、平成16年10月にアスベストの使用が全面的に禁止されていますので、この時期以降の建物には石綿スレートは、原則、使用されていません。

材質の違いはあるものの、スレートの特徴はほぼ同じで、軽く非常に安価で、塗装での着色の為、カラーバリエーションが豊富です。

デメリットとしては、耐久性が低くこまめなメンテナンスが必要で、また、割れやすいという点です。

【鋼板ぶき】

鋼板ぶきとは、分かり易く言うと、トタン屋根のような金属板製の屋根材です。正確には、トタン屋根は亜鉛メッキ鋼板と言うもので、近年では、ガルバリウム鋼板という屋根材が注目されています。どちらも、金属板の屋根材ですが、メッキの違いから、ガルバリウムの方が3倍以上も耐食性があります。鋼板ぶきの屋根は、瓦などに比べると重厚感では劣りますが、その分屋根を軽くすることができ、こちらも塗装ができる為、カラーバリエーションが豊富です。また、耐食性も日に日に進歩していますので、注目の屋根材かもしれません。

いかがでしたか?このように、屋根の種類について、一部かいつまんだだけでもこれだけの選択肢があり、形状と材質を組み合わせると、また更に多くの種類があります。

2つとして同じものが無いのも、中古住宅の魅力の一つです。弊社のリセットハウスも、こんな視点で見て頂ければ、また興味深い発見があるかもしれません。

Pagetop