建ぺい率と容積率 建築する際の影響

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 建物を新築する場合や、今ある建物を増築する際に、地域や場所によって様々な制限があります。その制限の中に、「建ぺい率」と「容積率」というものがあります。今回はその意味と、具体例を上げていきます。

 

1)建ぺい率の意味

建築物の建築面積の、敷地面積に対する割合のことを「建ぺい率」といいます。つまり、「その土地に建てる事の出来る建物面積の大きさが制限されている」ということです。その制限の大小は、「用途地域」によって異なり、それぞれの住環境によって定められています。「用途地域」とは、大きく分類すると「住居地域」「商業地域」「工業地域」の3つがあり、例えば「住居地域」の場合、その地域は住居を優先的に建てていく地域となるため、日当りやプライバシーの確保等を考慮し、建ぺい率の制限は厳しくなります。こういった地域で火災が起こった際、避難や消火活動の妨げにもなり兼ねないといった理由もあります。

 

2)建ぺい率の具体例

例えば、建ぺい率が60%の用途地域内で敷地面積が60坪の場合、その敷地に建てることが出来る建築面積は「36坪」となります。

この「建築面積」とは、「建物を真上から見た時の水平投影面積」となります。よくある一般的な、1階と2階の大きさが同じ建物や、2階よりも1階の方が大きい建物の場合、「建築面積=1階の床面積」と考えていただければ良いです。反対に、1階の半分は駐車スペースのため開放されており、2階の床面積の方が大きい建物の場合は、「建築面積=2階の床面積」となります。

つまり、上記の例ですと、平家の建物の場合はそのまま「36坪」までの建物を建築可能で、一般的な2階建ての場合は、1階の床面積が「36坪」まで建築可能ということになります。

 

3)容積率の意味

建築物の延床面積の、敷地面積に対する割合のことを「容積率」といいます。「建ぺい率」が「建築面積」に対して、「容積率」は「延床面積」です。つまり、「その土地に建てる事の出来る延床面積の大きさが制限されている」ということです。「延床面積」とは、「建物の床面積の合計面積」ですので、2階建ての建物であれば、1階の床面積+2階の床面積=延床面積となります。

「容積率」に関しても「建ぺい率」同様、「用途地域」によって制限が異なっており、「住居地域」の場合が最も制限が厳しくなります。さらに、「容積率」は「前面道路の幅員(12m未満の場合)」によっても制限があり、「用途地域」ごとの制限と、「前面道路の幅員(12m未満の場合)」の制限のいずれか低い方が制限となります。

・前面道路の幅員による容積率

 (1)住居系用途地域等・・・・・・・・・前面道路の幅員×4/10×100 (%)

 (2)商業系、工業系、指定無し地域・・・前面道路の幅員×6/10×100 (%)

4)容積率の具体例

例えば、容積率が200%の、敷地面積が60坪の場合、その敷地に建てることが出来る延床面積は「120坪」となります。ただし、その敷地の前面道路が4mの場合、4m×4/10×100=160%となり、200%と160%のいずれか低い方が制限となるため、その敷地に建てることが出来る延床面積は「96坪」となります。

このように、敷地に対して一定の空地を設ける事によって、災害時の対策や、通風・採光、さらには景観も保たれています。地域・地区によって制限が異なりますので、不動産業者や役所に確認をしましょう。

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