不動産の購入後、契約解除ってできる?

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「契約」はとても重要な「法律行為」です。契約を結ぶにあたっては様々な疑問や不安などがあるかと思います。今回は、その中でも「契約の解除」についてお話させていただきます。

結論から申し上げますと、もちろん、契約の解除はできます。そもそも、「契約の解除」とは決まりきったものではなく、契約書の中の条項に記載してあるものや、民法その他関係法規で規定しているものがあります。

また、近代法の原則として「契約自由の原則」がありますので、どのような場合に解除できるかを、当事者(売主、買主)で自由に定めることもできます。

それでは、不動産売買契約における代表的な解除の例を、

 A.一般の方が買主⇔一般の方が売主 B.一般の方が買主⇔不動産業者が売主 

 のそれぞれのケースに分けてご紹介させていただきます。

 1)手付解除

【Aのケース】不動産を購入する際には手付金を支払う場合があります。手付金とは、不動産の売買契約を結ぶ際に必要な、買主から売主に渡す金銭のことを指します。手付金の額は、概ね売買代金の10%~20%とする場合が多いですが、それ以上の額を定めることも可能です。

例えば、100万円の手付金を支払った場合、その100万円を放棄(手付放棄)すれば契約を解除でき、売主は、受け取った100万円と同額をプラスした200万円を支払う(手付の倍返しをする)ことによって契約の解除ができるというものです。

ただし、ここで注意が必要なのは、契約書条項に記載されている解除権は、売主・買主のどちらかが本契約の履行に着手したとき、または、手付解除の期限を定めて「○月○日までは手付解除が可能、以降はできません」のように、記載の期日を経過したときは行使することができません。履行の着手とは、売主であれば売買物件の一部を引渡した時、買主であれば新居用の家具を購入したときなどが「契約の履行に着手」した時とみなされます。

 

【Bのケース】

手付解除の期限を定めることは無効とされ、あくまでも契約の履行に着手したかどうかが手付解除の判断基準となります。また、手付金の額は売買代金の20%を超えることはできません。

2)ローン特約による解除

【この項目に関してはA、B共に相違はありません。】

不動産の購入にあたり、金融機関から融資を受けて、住宅ローンを組んだうえで購入されるケースがあります。

しかし、住宅ローンを組んで不動産を購入しようとする際、残念ながら住宅ローンの本審査で、融資申込金額の一部又は全額の承認が下りない場合があります。この場合、売買契約時に支払った手付金を返してもらい、契約をなかったことにすることができます。これが「融資利用の特約(住宅ローン特約)」です。

ちなみに、融資の審査が下りるまでには時間がかかります。予め定められた期間内に融資の審査が下りないと、自動的に契約が解除になってしまい、他に買い手がついてしまうという事があります。仕事や家庭の事情等で融資の申し込みが遅れたりすることがないよう、この期間に迅速に行動することがとても大切になってきます。

3)違約解除

【Aのケース】

違約解除とは、売買契約書に記載されている決まりごとを売主が守らない場合(買主が自己の債務の履行を提供している<自分は決まり事を守っている>ことが前提)、期日を指定して催促してもなお応じてもらえなければ、売主に対して契約の解除と違約金(契約に定めた事項に違反した売主が支払う金銭)の請求をすることができる事を指します。

通常、不動産売買の違約金は、予め違約金の額を定めて契約書に記載されておりますが、その額は、売主・買主の双方で取り決めをし、概ね売買代金の10%~20%とする場合が多いですが、それ以上の額を定めることも可能です。

 

【Bのケース】

宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、違約金の額は売買代金の20%を超えてはならないと定めております。 これは売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように保護しています。

 

④クーリングオフ規定による解除(宅地建物取引業法第37条の2)

特定の取引に限って、契約を結んだ後も一定期間熟慮する余裕が与えられ、その期間内であれば一方的に契約を解消することができる制度を「クーリングオフ(cooling-off)=頭を冷やして考え直す」といいます。

すなわち、このクーリングオフ期間であれば、例えば、何か気になる箇所が出てきてしまい、購入意欲がなくなってしまった場合でも、「気に入らないけど、契約してしまったからしょうがないか」ということにはならず、契約を解除して、また新たな候補を探すことができるという消費者の味方となる制度になるわけです。

【Aのケース】

売主・買主双方が宅建業者ではなく、一般の方になっています。この場合は、クーリングオフ制度が適用されませんので注意が必要です。

 

【Bのケース】

宅建業法(宅地建物の取引を規制する日本法律)では、売主が宅建業者の場合で、テント張りや仮設小屋での販売など「事務所等」以外の場所で売買契約を結んだような場合、宅建業者から書面によるクーリングオフ制度についての説明を受けたその日から8日以内に限り、解除通知書面(契約の解除を申込む旨を記載した書面)を発信すれば無条件に契約の解除ができます。

 

5)危険負担の特約による解除

【この項目に関してはA、B共に相違はありません。】

不動産購入にあたっては、契約をして手付金を支払ってから建物の引渡しを受けるまでに数週間~数か月がかかります。もしこの間に契約した建物が燃えてしまったらどうなるのでしょうか。

このようなケースに関係してくるのが「危険負担」です。具体的には、隣家の火事による類焼、放火された場合の火災、地震や自然災害による家屋の倒壊や流失、土地の流失や陥没などが挙げられます。

故意による損害ではないので、当然買主の負担になるわけがない、と思われるかもしれませんが、実は民法ではそうではないのです。

「危険負担の債権者主義」 といって、たとえ売買対象の建物が無くなってしまっても、債権者(買主)は売買代金のすべてを支払わなくてはならず、これに対して売主は、損害賠償も代わりの建物を用意する必要もありません、となっているのです。

これではあまりにも買主の負担が大きすぎるので、不動産の売買契約書では民法と異なる特約をすることになっています。危険負担の特約においては、「損失については引渡し日の前日までは売主、引渡し日以降は買主の負担とする」とし、「買主が本契約を締結した目的を達することができない場合には、本契約を解除することができる」という内容に変更されるのです。これが「危険負担の特約による解除」ということになります。

 

6)その他解除

その他、様々に解除のケースはありますが、主なものですと、瑕疵担保責任(売買の目的物に瑕疵があり、それが取引上要求される通常の注意をしても気付かぬものである場合に、売主が買主に対して負う責任)の履行による解除や、反社会勢力(暴力や威力、詐欺的手法を用いて、経済的利益を追求する集団や個人)の排除による解除があります。また、先述した通り、解除の条件は契約書条項により、自由に(公序良俗=公の秩序又は善良の風俗の略、に反しない限り)定めることができます。

 

一般の方が売主のケースと不動産業者が売主のケースでご説明させていただきましたが、不動産業者が売主の場合の方が、買主様の保護が手厚くなっています。

 

リセットハウスでは「リフォーム済の中古住宅」をメインに、お客様に気持ちの良い契約をしていただけるよう、最善を尽くしております。中古住宅をご検討の際は、ぜひ弊社にご一報いただけると幸いです。

 

以上となりますが、契約に際しては、「契約の解除」はとても重要なポイントになります。大きな買い物となるわけですから、事前に理解さえしていれば、いざという時に混乱することなく気持ちの良い契約ができることでしょう。

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